数えてみれば40年経ったわけであります。
しかし、私(現理事長・池田宏)が関わったのは、やっとのことで認可を受けて「公益財団法人」に移行した平成24年の一年前位からでした。
種々の苦労を経て、現在では謡曲と仕舞の教室の受講生が最多で30人を超えるまでになったが、そのおおもとには、母である前理事長の、言葉は悪いが「のめり込むような」能への愛着と実行力と資金的背景がありました。
当館の建設は昭和52年(1977年)、法人登録は54年(1979年)です。
創設当初は東京から講師として能楽師を呼んで仲間とともに定期的に仕舞と能管(笛)を学んびました。そして両者ともに嘱託(人に教える資格)を得るまでになったのです。現在ある意味で安定的な活動ができるのは、こういった前理事長からの一種の「遺産」によるところが大きいのです。
種々の事情に加えて母(前理事長)の病気によって、当館は長い間休眠期間に入りました。母(前理事長)は能の活動に復帰することはありませんでしたが、能の「舞台」と隣接する「資料室」にある美術品、茶、能、着物の所蔵品を残してくれました。現在の活動を考えるとこれだけで十分すぎる貢献です。
そしてこの40周年記念公演においては、人間国宝級の能楽師の方々が勢揃いするという感情的に言えば「奇跡のような」公演が実現することとなりました。途中空白のある「40年」を思うと、全く感慨深いことであります。なかでも母(前理事長)は、野村万作師・萬斎師と、失礼かもしれないが、個人的にも親しくして頂き、狂言の公演を開催したり、会食したりすることがしばしばありました。
皆さまには、ぜひともご来場のうえ能楽師による公演を御堪能頂きたいと存じます。
そしてこの公演後も御愛顧賜りますようよろしくお願いいたします。